手技療法界の将来を憂う
かつて巷で大人気だった「耳ツボダイエット」。ここ最近ではすっかり見かけなくなりました。耳ツボダイエットとは、耳の経穴(ツボ)へ粒状の金属を貼ることにより食欲を抑制した上で代謝を高め、痩せやすい体質へと改善させるというものだそうですが、全く以て根拠も効果も薄弱です。表向きは耳ツボ刺激による痩身効果を謳いつつ、実は高額なサプリメントや健康補助食品を販売することが狙いです。しかも、それらは半端な金額ではなく、店によって多少の価格差はあるようですが、お試しのトライアルセットでさえ5万円~8万円程、年間で50万円~100万円程になるケースも珍しくありません。当院へ通院していた患者さんでも180万円分のサプリメントをズルズルと購入させられたという人がいたのには驚きました。空腹時にサプリメントや健康補助食品を摂取するだけで頑張っているような錯覚に陥り、ちょっと体重が落ちるとあたかも耳ツボとサプリメントの相乗効果であるかのように乗せられ、まんまとサプリメント販売の術中にはまり込んでしまいます。しかし、子供騙しの口八丁がいつまでも通用するはずもなく、徐々にその人気は低迷化。ここ最近は衰亡の一途を辿っています。そこにきて耳ツボに代わって勢力を伸ばしてきたのが、カイロプラクティックを隠れ蓑に高額な寝具や健康器具、下着、サプリメントなどを売り込むカイロ商法です。(カイロ商法の詳細に関してはこれまでに幾度か取り上げてきたので割愛します)カイロ商法は耳ツボよりもずっと悪質で、様々な症状で苦しんでいる人や高齢者までも容赦なくカモにします。日本国内で本物のカイロプラクティックの技術を習得した本物のDOCは殆どいません。ちょっとした腰痛や肩こり程度なら適当なストレッチやもみほぐし、矯正などでお茶を濁せるかも知れませんが、本物の難治症状にはサプリメントや寝具などは一切通用しません。メッキはどこまでいってもメッキ。人道に反した洗脳商法はいずれ見破られ、廃れていくことでしょう。
残念なことに、手技療法業界は目をぎらつかせた強欲な営利至上主義者ばかり。そういった事案を耳にする度に、業界全体の信用失墜と手技療法界の将来を憂うばかりです。
2017年02月13日 04:09