痛みなど症状の捉え方
大相撲力士やプロレスラーの施術で地方へ出向く機会が多かったこともあり、これまでに全国の様々な土地を訪れてきましたが、どの町でも必ず接骨院や鍼灸院、マッサージの看板が見受けられます。それもそのはず、全国には接骨院(整骨院)が約4万件、鍼灸院が約2万件、あん摩マッサージ指圧院が約2万件、鍼灸あん摩マッサージ指圧院が3万件あるそうです。更に、整体院やカイロプラクティックなどの民間徒手療法の施術院も、約2万件とされています。先日放送されていたあるテレビ番組によると、国内のマッサージ店の件数は「83,313件」とのことでしたが、この場合、前述のあん摩マッサージ指圧院と激安を売りにしている無資格の違法マッサージ店を混同させた件数だとしても、無資格の違法マッサージ店が6万件以上存在するということになります。
この莫大な件数を“それだけ需要がある”という見方をされる方が多いようですが、裏を返せば「治せない施術家が多すぎる」ともいえます。治せない、治らないのに儲かる、結果が伴わないのに儲かるというのも皮肉なものです。
これ程の件数の治療院が軒並み溢れているにも関わらず、腰痛や肩こりなど何かしらの不調を抱え、且つそれらが解消されない現状、何故、従来の整体療法やカイロプラクティック、オステオパシーなどのあらゆる手技療法で回復しないのか、という疑問を持たれる方がどれだけいるでしょうか。また、これだけ治療院が存在していても、殆どの場合が癒しの名のもとにリラクゼーションと混同化して怠惰を極めている現状をみても、手技療法が代替医療(代替療法)として医療の一躍を担っているようには到底思えません。このような中途半端な姿勢で立派な看板を掲げようが、立派なホームページを作成しようが、一体何に効果を発揮するというのか甚だ疑問でなりません。
抑も、痛みなど症状の捉え方から見直さなければなりません。痛みなどの症状は、人間の生体機能を正常に保つ為に起きる現象です。痛みの発症の都度に痛みを抑えるのは、本来の生体機能に反し、還って症状は悪化します。
ひたすら鎮痛を目的とすることが治療である、つまり、「鎮痛=治療」「無痛=完治」という考えが恒常化し、それが常識とされてきました。よく「頭が痛かったけど頭痛薬を飲んだら治った」などという声を耳にしますが、それは頭痛が治った訳ではなく、鎮痛剤によって人工的に頭痛を抑えただけであって、治った訳ではありません。痛みを抑える、症状を消すことを目的とした治療を繰り返すうち、本来持つ正常な生体の治癒力を弱化させ、やがて回復困難となります。「最初は○○整体院で効果があったのに最近効果が無くなった」「鎮痛剤が効かなくなった」という声こそが何より如実な例です。様々な症状で悩んでいる方は、これまで頭ごなしに擦り込まれてきた不確かな知識を捨てて「なぜ治らないのか」ということを本気で考えてみてください。
2015年02月19日 10:48