健康難民の意識改革を
先日、かつてサプリメントなどの健康食品を大量に愛用していたというある50代の女性患者さんが「サプリメントを多く摂っていた頃は体調が優れず風邪を引きやすかった」と、話していました。まさにサプリメントなどの健康食品の害毒による健康被害を身を持って経験した真実の声です。自身の身体の変化に気付けたということは、これからは誰よりも健康体になれるという証。どうか、その貴重な経験と鋭い感覚を大切にして頂きたいものです。サプリメントなどの健康食品を有り難がって摂取しているうちは、心身共に健康にはなれないということを冒頭から断言しておきます。不足しがちな栄養素をサプリメントで補っているつもりになって安心している健康難民、或いは健康オタクは、単なる「サプリメント依存症」です。単にそれらに依存しているだけです。依存しているという意味に於いては、薬物やアルコールに依存する体質と大差はありません。
また、健康難民や健康オタクは、病気、特に癌に関する知識がやたらと豊富なようですが、所詮は健康食品の販売業者に刷り込まれた程度の取るに足りない浅知恵。果たして、いざ自身が癌に罹患した時、自信を持って今まで頼ってきたサプリメントなどの健康食品の効果を実証することができるのでしょうか。“健康に良い”というものを摂取して安心しているだけであるということを自分でも分かっているはずです。
裏を返せば、健康難民や健康オタクは、人並み以上に健康に関する意識が高いともいえます。旅先に立ち寄った寺社仏閣や土産店で買ったお地蔵さんや観音さま、七福神の置物などを神棚や仏壇に並べているうちに、何を拝んでいるのか分からなくなっているようなものです。すがりたいだけです。しかし、いざ病気になった時には、今まですがってきたサプリメントもお地蔵さんの置物も観音さまの置物も七福神の置物も助けてはくれません。結局は、自分自身で病気を治すしかないのです。その事実に絶望の末に気付くか、或いは端から覚悟を決めていられるか。この違いは非常に大きいです。
言論の自由という民主主義社会の原則に基づき、これからも折に触れて健康を害するサプリメントについて糾弾し、健康難民や健康オタクの意識改革の一助となるよう努めて参ります。但し、いくら害毒があるとはいえ、サプリメントなどの健康食品は現代社会に於いては正当に販売されている食品の一部であることは事実ですので、それらを自身で納得した上て購入し、充分に満足している方を批判している訳ではないということを、どうぞ悪しからずご了承願います。
2015年10月09日 07:04